子育て中のちょっとした不満と言えば、本を読む時間があまりないということでしょうか。
読もうと思えば読めるんですが、ちょっとした時間だとついスマホを見てしまいがちです。
なんてことを人と話していたのですが、読んだ本のメモを見返してみると、それなりに読んではいました。集中して一気に読むということがあまりできないので、なんとなく読んでないように感じていたのかもしれません。
ということで、不定期に、読んだ本の中から少しづつ紹介していきたいと思います。
宮本常一が見た日本 佐野眞一
「日本を丸ごと抱きしめた男」人生を旅に費やし、16万キロを歩いた経世済民家・宮本常一
戦前から高度成長期にかけて、日本中の村々という村、島々という島を歩き、そこに生きる人々の生活を記録した宮本常一は、人をとろかすような笑顔と該博な知識を持って地域振興策を説き、人々に誇りと勇気を与え続けた。
宮本が残した膨大な資料をもとに、第一級のノンフィクション作家である著者が日本各地を取材、そのまなざしの行方を追い、今こそ求められている宮本的経世済民思想と行動の全容を綴る。
大宅壮一ノンフィクション賞受賞「旅する巨人」続編作品
「人間は、伝承の森だ。学問は木だが、人間は森だ。人間に向かって歩け、伝承者になれ」
「記憶に残ったものだけが記録にとどめられる」
「風景を風景として見るだけでなく、ひとつの風景を作り出してきた人びとが、自然とどのようにかかわりあってきたかに目をとめてみていただきたいと思う」
「決して主流になろうとするな。傍流であればこそ状況がよく見える」
などなど、宮本常一の言葉や文章などからの力強い言葉もたくさん出てきます。
そんな宮本常一が父から受けた10ヶ条は以下のようなものだったようです。
少し長いですが、紹介します。
父から受けた10ヶ条
1. 汽車に乗ったら窓から外をよく見よ。~後略
2.新しく訪ねていったところは必ず高いところへ上って見よ。~後略
3.金があったら、その土地の名物や料理はたべておくのがよい。その土地の暮らしの高さがわかるものだ。
5.金というものはもうけるのはそんなにむずかしくない。しかし使うのがむずかしい。
前半は、民俗学者宮本常一のその後の物の見方にも影響を与え続ける、教訓的な内容です。
※ちなみに宮本家は貧乏だったので、5番に対しては、不満もあったのではないでしょうか。「なにを言ってやがるんだ」とは言ってないですけど。
6.私はおまえを思うように勉強させてやることができない。だからおまえには何も注文しない。すきなようにやってくれ。しかし体は大切にせよ。三十歳まではおまえを勘当したつもりでいる。しかし三十過ぎたら親のあることを思い出せ。
7.ただし病気になったり、自分で解決のつかないようなことがあったら、郷里へ戻ってこい。親はいつでも待っている。
8.これからさきは、子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中はよくならぬ。
9.自分でよいと思ったことはやってみよ。それで失敗したからといって、親は責めはしない。
10.人の見のこしたものを見るようにせよ。その中にいつも大事なものがあるはずだ。あせることはない。自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ。
後半は親が子を思う気持ちに溢れています。親というのは、こういう気持ちになるものでしょうか。
膨大な写真や資料から当時のことを確認し、実際に現地へ足を運び宮本の足取りをたどってみる取材自体が、興味深く読めます。
(時間はかかるんですが、地図を見ながら読むと、おもしろいと思います)
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