「さまよえる田中のさまよわない日々④」
ごく一部のファンのご要望にお答えして、ここにも載せておきます。
(日本海新聞読めない人も読めるように)
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出会いの場所は図書館
三ヶ月の用事を終え、さて実家に戻りしばらくのんびり・・・
なんてこともなく実は数日後にはすぐに仕事がはじまった。
就職先は、世界一周の旅をする前にも務めていた図書館である。
予定外に寿退社などがあり、たまたま空きが出て幸運にも再び働けることになった。
実は私たち夫婦の出会いの場所はこの図書館。
雨の降る、ある秋の日(なんていえば妙にロマンチックに聞こえるから不思議である)。
貸出カウンターに座っていると、青いダウンジャケットを羽織り緑のリュックを背負った田中が現れた。
それまで見かけたことのない人である。まあ図書館というのはいろいろな人が来る場所なので、それは不思議ではない。
しかしこの人は聞けば日野町に住んでいるという。
年齢はひとつ上。
小さな町なので地元の人ならわかるはずだが、記憶をいくら辿ってみてもわからない。
「いや~、今日は雨なんで仕事がなくて。ハハハ」などと聞いてもいないのに話す田中。
雨だったらできない仕事ってなに?
そしていったい誰なんだ、という困惑とともに田中との出会いは忘れられないものとなっている。
図書館司書という仕事をしていてうれしいのは、求められた本を探し出し、差し出せた時。
頼まれてはないのだが、読書傾向からこの人はこの本好きそうだな~と思って薦め、おもしろかった!と言われた時、とてもうれしい。
この原稿を書いている現在、実は私は中学校の図書館で働いている。なので今のお得意さまは子どもたちと、田中。
今や田中の読む本はほぼ、私の独断と偏見によるチョイスで決められているといってよい。
たまに長い本を読んだ田中から
「おもしろかったから読んだら?あっ、でも君には長すぎて読めないだろうね」
と小馬鹿にされつつも選ぶのをやめないのは、やっぱり喜ぶ姿を見たいから?
いやいや、職業柄だろう。
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とりあえず、もう一回。
5回までいきます。
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