さまよえる田中のさまよわない日々⑩


ちわっ。田中(妻)です。

日中は暑くとも夜にはひんやりするくらいの毎日です。夏らしさがまだもうひとつ?
夜になると「トラツグミ」がヒエーッと鳴いています。昔はぬえの声だと言われたとか。

いよいよ連載記事最後です。
「原稿の締め切りが~」なんて先生気分で言っていたのも終わり。実際なかなか書けずに担当の方にご迷惑をおかけしたこともありました・・・。
それでも楽しかった連載!しみじみどうぞ!


***
日本海新聞月1回連載
「さまよえる田中のさまよわない日々」第10回

 私たち夫婦が現在借りている家は山間にあり、たくさんの植物に囲まれて建っている。

 春は千株もあるという水仙が一面に咲き、梅雨ごろには紫陽花がひっそりと、夏には百日紅が、秋には菊がどこからともなく咲き出す。引っ越して一年目は、ふと気付くとそこに咲いている花を見つけては、まるでサプライズプレゼントをもらったように嬉しい気持ちになった。

 家での楽しみはほかにもたくさんある。今年の春ごろには野草を食べることに挑戦し、カラスノエンドウをおひたしにしたり、ヨモギやスギナのお茶を作って飲んだりもした。たくさんある梅の木から梅シロップを作ったりもした。食べることではないが、家のすぐ前の川を飛ぶ蛍を見に、夜に二人で散歩することもある。
 
 自分たちでつくる楽しみもある。

 たとえば昨年からはじめた影絵楽団。物語も人形も音楽も、すべてオリジナルで、メンバーみんなで作っている。すでにイベントやライブハウスで何度か上演した。
 
 さらに今年から近隣町村と協力しあい、小さな映画祭も開催する。日野郡3町・岡山県1村を会場とし、月に一本映画を上映する。どれも大型映画館では上映していないが優れた作品ばかりである。そのほか我が家を会場にするイベントもまたやってみたい。
 
 幸か不幸か?やりたいことはいっぱいある。

 遠くに行くのもいい。また旅に出たいとも思うこともある。しかしこうして、身の回りにあるものを再発見したり、ないなら自分たちでやってみたり、そんなことをするのも楽しい。ささやかながら満足して暮らすことができるのは幸せだとも思う。

 さまよわない日々もなかなかいいものである。
 
 これで連載は最後です。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました!いつかまたどこかでお会いできる日まで…。


※日本海新聞さんのほうには引き続き月一回手鏡というコラム欄で書かせてもらっています。
ペンネームは「さまよわない人」
見つけたら読んでみてくださいね。

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