こんにちは、田中です。
レイトショーを観に行って来ました。
是枝監督の「万引き家族」
カンヌ映画祭でパルムドール取って、話題になりましたね。
僕はもともと興味はあったのですが、ラジオで監督と高橋源一郎の話を聴いて、その日に観に行きました。
※NHKラジオの聴き逃しサービスで来週金曜日まで聴けます。これには、ネタバレはなかったと思います。
映画よかったです。※言うまでもないですが、個人の感想です。
忘れないうちに、観た感想を書いておきます。
以下、ネタバレというほどでもないですが、内容についても触れています。
まだ観てない人は、読まないほうがよいかもです。
読まれるかたは、そのつもりで。
予備知識少ないほうが楽しめますよね(と僕は思います)。
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冒頭から万引きのシーン。
でもその帰りには、商店街で普通にコロッケを買っている。
そして、寒そうにしている女の子を放っておけない。
万引きを日常的にしているのだが、全く理解できない、異常な人たちというふうには描かれていない。
誰も血は繋がっていない、普通ではない家族。
でも、家族ってなにで繋がっているものなんだろう。
心、体、お金?
これはこの映画のひとつのテーマかもしれない。
こんな関係、こんな暮らし、いつまでも続くわけない、と思いながら観ていた。
家族もみんなそう思ってはいたと思うけど、それに一番最初に耐えきれなくなったのがこども。
きっかけはいろいろあるだろうけど、駄菓子屋のおじいさんに
「妹にはさせるなよ」って言われた。
治(父ちゃん役)や信代(母ちゃん役)の言うことは苦しい言い訳だ。
お店のおじいさんは、その後話す機会もなく亡くなってしまった。
店が潰れたと思った?やっぱりよくないことだと思った?
「僕、わざと捕まった」
警察の取り調べでは、そんな聞き方するか?とは思うような、ある種一般論がぶつけられている。
感情的に言い返すのかと思ったが、目を擦り、抑えきれない涙がこぼれながらも、
「なんだろうね」
と、静かに繰り返した、信代の涙のシーンは印象的だった。
この問いは誰に向けられたものなのか。
単純に、こどもが信代に対して直接呼び掛けるシーンってあったかな? なんて呼んでたっけな? (気にして観ればちゃんとなんか呼んではいるとおもうけど)
でも、そういう意味で「なんだろうね」と言ったのではなくて、
私達家族って、なんだろうね?
そんなことを聞かれる、私って、(あなたたちからして)、なんなんだろうね?
というふうにも聞こえた。
「私たちは、拾っただけです。捨てた人は他にいるんじゃないですか?」
それぞれのその後。
亜紀は、みんなで暮らしていた家を訪れる。これからどうするのか?みんなで暮らしていた場所で暮らすのか?
罪をひとりで引き受けた信代は、
面会で、祥太に、ほんとの親を探すための情報を教える。
もう、家族にはもどれない。
治は、祥太に、
「父ちゃん、おじさんにもどるわ」
と言うが、
別れ際に
「僕、わざと捕まった」
と言った祥太の乗ったバスを追いかける。
たぶん、「ごめんな」と「ありがとう」を言いたかったのかもしれない。
最後のこどもの視線の先は描かれていないので、それぞれで想像するしかないのだけれど、
祥太は、バスの窓から振り替えって、もう追いかけてくるのをやめた、「おじさん」を見たかもしれない。
でも、振り返りながらも、前に進んでいく。
鈴は、マンションの廊下で、あの家で覚えた数え歌を、ひとりで唄って遊びながら、拾われた日のように声をかけてくれる人はもういないってことを、確認したのかもしれない。
でも、だいじょうぶっていってるような気がした。
希望もある。
こどもたちは、本当の親からはもらえなかった、これから生きていくための支えのようなものを、あのイビツなかたちの家族からもらったと、言っているような気がした。
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